うちの大学には、5階に植物標本庫がある。日本でも有数のカヤツリグサ科スゲ属植物をメインとした標本庫である。


当然、自慢の逸品です。その標本の敵、それが「タバコシバンムシ」である。家庭の台所にもいます。

標本を食い散らかし、そして増えていく、食われた標本は粉々になり、もう目も当てられなくなります。最終的に処分することも考えなければならないほど決定的ダメージになり得ます。

このタバコシバンムシ(変換したら「タバコ死番虫」と出てなかなかセンスがよろしい)、皆さんに無関係という訳ではないんですよ。

小麦粉をはじめとした粉もんの中に入り込み、下手したらアレルギーを引き起こす可能性も秘めているのです。小麦粉やふりかけなど一度封を開けたものは必ず冷蔵庫か冷凍庫に保存しましょうね。夏なんて危険すぎる。

そんなタバコシバンムシと戦うべく、防虫対策として「ホルモン剤」を利用したホイホイもどき、湿気取り機、そして「虫の好きな紫外線を出す器具(コンビニの入り口付近の端にある青っぽい光を出すやつ)」を標本庫に置いて対策をしております。

結構、この光が呼び込んでくれていて、またしてもホイホイ糊テープについとります。

この紫外線機が、ある日を境に突然焦げ臭いようなゴムが焦げたような臭いを醸し出し始めたのである。触っても熱くないし、位置が変わった訳ではない。

しかし、扉近くに置いているためか、一歩、部屋を出ると廊下に臭いが漏れているのである。

大いに不安になった私は、先生をお呼びして、その臭いを嗅いでもらうことにした。結果、やはり臭うと。しかも外まで漏れているのは大変困る状況である。

ふと先生が、隣の部屋まで臭っているか尋ねると言われる。まずは担当教員に連絡しようとするも席を外されており、ゼミ生室を尋ねることに・・・

入ってする分かるこの臭い。3Dプリンターが動いている奥でゼミ生がこの寒い中、窓全開にしているではないか!

これだよ、この臭いだよ。ゴム臭いの当たり前!使っている本人が窓開けてるくらいですからね。

よく考えると「ジーゴロギーゴロブー」って廊下で聞こえていました。3Dプリンターが頑張っている音だったのであった。

必死に紫外線機を調査していた私は何だったのだろうか?そこにしか原因がないと思い込んで、そこしか見て見えていなかった後悔。

何か起こったら、状況確認はその場所だけでなく、そこの周り半径5mくらい広げて鑑識されることを自分に誓い、「常識を疑う」ことの難しさを悟ったのであった。