経験がモノを言う
急病人発生
意識・反応あり・真っ青
どうする?
<結論>
本人の楽な姿勢にする
<今回のお役立ち資格>
WFAベーシックレベル(Wilderness First Aid)
Wilderness First Aid Japan
http://wildmed.jp
*3年更新
更新日:2020年11月28日
挙手された先に向かったところ、向かいの方が顔面蒼白で息苦しそうだったので、WFAの経験をもとに総力を上げた話です。
「まさか」という坂
特に変わったことはないある日、説明会のため会場へ向かいました。人が集まるため会場は、窓を開放したまま暖房がついている状態。人と人の間は1メートル程度の間隔、入室する時は手指の消毒、マスク着用必須で「3密」にならないように配慮しています。
説明会がはじまって10分ほど経過したでしょうか、参加されている方が説明の途中に挙手されました。
「質問か」と周りが思ったのですが、どうも様子がおかしい。視線を向けると、挙手された方の向かいにお座りの方の様子がおかしいのです。
机に今にもうつ伏せになりそうな姿勢で顔を上げ、かろうじて息をしている様子です。
すぐに近づいて「吐き気」を伺ったところ、首を横に振る。意識と体を動かすことはできることが分かりました。
「横になった方が楽ですか」
と聞くと、首を縦に振り、再度意思表示。この間も顔は青白いままです。
周りの男性の方の手を借り、ご本人のリュックかばんを枕にし、とりあえず床に横になってもらいました。
すると、息が早いのです。
お腹の動きが普通の息タイミングというより、走った後のような感じです。
呼吸を正常に戻して、ご本人さんの気持ちを落ち着けてもらうことに決め、「ゆっくり息を吸って、吐いて」とお腹に手を当てて一緒に呼吸をしていただきます。
出血はありません。
指が硬直していたので、手を握って揉み温めます。いったんは柔いだのですが、またこわばっていきます。
ご本人さんもおそらく「プチパニック状態」になり不安なはずです。なぜなら私も同じ状態になったことがあるからです。
生理痛です。
私の場合、ピルを服用する以前、目の前が徐々に暗くなりそのまま貧血状態となり意識を失うことが多々ありました。
現在、ピルを服用しているのにもかかわらず、2ヶ月前、久しぶりに「この発作」が起こったところでした。
吐き気と浅い呼吸で訳が分からなくなります。私の場合は、ひとりですし、初めてではありませんので嵐が通り過ぎるのをじっと耐えるのみ。
しかし「この発作」が初めてのことですと、非常に不安なのは間違いありません。
一緒に呼吸をしてもらい、呼吸の速度がややゆっくりになったところで、関係者に医務の方を読んでもらうようお願いしました。
本来なら駆けつけて顔色が悪いことが分かった段階ですぐに医務の方をお呼びすべきでしたが、私も焦っていたようです。
顔色が青白から肌色に戻るかなという期待が出てきた段階で「床の冷たさ」が気になりました。横になっていただく際に「床が冷たいですよ」と言ったままそのままになっていました。
部屋を見渡すと段ボールを発見。
再度、男性の方に手伝っていただき、床と体の間に滑り込ませました。少しは床からの寒気を防ぐことができました。
5分後、医務の方が複数来られました。
医務室の方で様子を見るとのことでした。
そのときには、顔色がほぼ正常に戻り、ご本人「一体何があったんだろう」とボーと様子でした。気持ちよく分かります。最初は私もそうでした。
後から考えてみますと、駆け込みで説明会に到着され、そのまま「過呼吸」の状態になっていたのかと想像します。
呼吸の「吸って吐いて」が「吸って吸って吸って」となり、手先がしびれて硬直してしまったと思います。
終始冷静でいられました
医務の方にお願いした後、対応がすごかったと言われたのですが、どう考えても「WFA(Wilderness First Aid)」の経験のおかげでした。WFAJ
http://wildmed.jp/index.html
資格を得る機会があったのですが、3年後の更新を怠ってしまった私ですが、そのときの経験がまだ体と頭に残っていたようです。
WFAベーシックレベルは、野外や災害において救急車や医療関係者が10分以内に現場に到着できない現場で自分ができることを最大限おこなうための知識と技術を習得するコースです。
2日間、講習と実習を繰り返し、2日目の最後にペーパーテストと実技テストを経て合格すると資格がいただけます。
3年更新ですが、この理由は、3年経過すると講習内容が更新される、更新しないといけない場合が想定されるためです。
野外ですと当然、血が流れる場面が想定されるのですが、怪我をした本人への同意が必要ですし、医療行為にあたる可能性もあるので知識のバージョンアップが不可欠です。
私の場合、資格を取得した後も毎年、WFAベーシックレベル講習会のお手伝いをしており、怪我人役を引き受けたり、2人1組の1人として指名されたりと継続して知識をバージョンアップできていたのが幸いでした。
WFAベーシックレベル講習会の特徴は、何と言っても「実技」です。怪我人役は、先生から事細かな「怪我に至るシチュエーション」と「現在の状態」を指示されます。
救助者側が正しい処置をしないと反応できないので我慢のしどころでもあります。
ところがこの救助者側になって見ると「何をして良いのか分からない」という「パニック」が起こります。
知識として「こうなればこうする」「山といえば川」くらいに頭には入っているのですが、目の前に倒れた人がいると、
>> まず何をして良いのか分からない <<
のです。制限時間もあり、この焦り。
しかし、この「焦り」にある意味慣れ、こうすれば良いのかなという余裕が徐々に出てきます。
2日目になると、この余裕から「はいヤメ」という先生の合図の後に怪我人役と救助役がお互いにどうすれば良かったのかを相談するようになります。
この「慣れるまでやる」が今回本当に役立ちました。まず、目の前に病人がいても「焦らない」「慌てない」。
「どうすべきか」を冷静に考えることができました。
もちろん、医務の方を呼ぶというのを怠りましたが、その前に「医務室に連れて行く」という話が出ていたのです。
すぐに「今のご本人の様子では無理です」と提案できました。
WFAベーシックレベル講習会で最初に覚える「酸素化」。酸素を確実に身体に届けるために必要な要素が揃っているか。
このことを確認して行けば、医療関係者の方が到着されるまで何とかなる。再度の復習の必要性を実感しましたが、まずは、WFAを受講できたことに感謝しました。
WFAベーシックレベル受講について
2020年3月からの世界的なコロナ恐慌により、どうしても実技で「3密」となってしまう関係で、例年よりも開催が少なくなっているようです。スケジュール>WFAJ
http://wildmed.jp/concept.html
しかし、コロナ対応としてZOOMによる「オンライン講習」という新しい試みを追加され、実技を1日に濃縮するやり方に変更となっております。
目玉のひとつである「実技」の時間が縮小されるのは非常に残念ですが、継続して講習会が開催されていることに感動しました。
まだまだWFAは、日本では一般に馴染みがないかもしれませんが、その内容と実際に受講した身からすると「何ひとつ無駄なことはありません」。
野外で活動される方だけでなく、災害現場での「もしも」を考えると、投資の勉強と加えて、高校や大学の講義に取り入れられることが必要なのではないかと思わざるを得ませんでした。
(WFAは16歳以上が対象です)
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