「正しいトレーディング」とは、正しい「思考」の結果
株式を取引するのではなく、人を取引する
(デイトレードー序章より)
日本語版は2002年に出版されました。すでに20年前近くの本なのにも関わらず、未だ心に染みるのは、株取引というのが価格だけの話ではないことを示しています。

著者のオリバーとグレッグは、自己紹介を兼ねた序文に自分たちがそれぞれ初期の頃になかなかの金額の痛手を株取引で受けたことを告白しています。

その後、自分たちと同じ轍を歩む投資者が出ないように投資教育に力を入れます。ニューズレターを発行し、それぞれ紹介する銘柄について詳細なトレーディング戦略を掲載します。

オリバーとグレッグのトレードは短期トレードを主としており、ニューズレターでの詳細なトレーディング戦略を掲載することで、読者はインとアウトのタイミングを知ることができます。

使用上の注意として、そのあまりのニューズレターの的確さのため、株取引で得られるある種の「ギャンブル」としての興奮が無くなる可能性を指摘しています。

ところが、「ギャンブル」としての興奮がない株取引こそプロの取引であり、私たちはその領域を目指していることは間違いありません。

私個人の経験ですが、
・インすればすぐ価格が下落
・希望で購入
してしまうのです。希望で購入する点はまさにギャンブルです。自分でも自信がないことを如実に示しています。

下落の原因を知るのは無意味!?

「インした瞬間から価格が下落」、初心者なら誰しも経験あるあるです。

この現象に対して、インする前にテクニカル分析で逆指値(ロスカット、LC、損切り設定)を決めておくことでこれが解決するといいます。

株を始めて2ヶ月ほどすると、ある程度勉強が進み、事前にインとアウトする価格を決めておくことは常識であることが分かってきます。

「分かってきます」の意味は、それまでも本や先生方からN計算値、E計算値などを事前に教えていただいているにも関わらず、実際にはそれをやらず「安くなったから飛びつく」ことがなくなるということです。

「高値づかみ(ジャンピングキャッチ、JC)は愚の骨頂」と言うのは天井からの急落の様子を見るとすぐに理解できます。いわゆる「一本グソ」ですね。

「安くなったから飛びつく」のは、事前に調べて株価を毎日チェックし、安くなるのを待ち続けて良いタイミングで買うことです。

しかし、この場合、買った後に「あら?いつ売れば良いの?」という悩みが生まれる瞬間です。目標価格が今よりも上にあれば「まだまだ大丈夫」とゆでガエル状態。あっという間に急落…

価格が戻ってくればまだましの「やれやれ売り」、買った時は利益があったのにの「泣きの損切り」となります。どちらもつらい経験でした。

これらの経験を実際に体験して「腹落ち」するまでには時間とお金がかかってしまうのです。

なぜなら場中、
初心者は負けている取引にしがみつくことを正当化するためにニュースや噂を探す

からです。


事前の計画で決めた損切りラインまで下落したら「躊躇なく売れ!」ということです。そのための事前の計画であり、場中のニュースや噂を見るなと戒めます。

疑問を持つのは、取引前と取引後です。

勝った理由を明確に

まず勉強して株取引に関する知識を身につけることは必須項目です。株取引を始めたら、負けた取引の詳細をノートにメモします。

負けた取引、つまり利益が出なかった取引は、
1. 前向きな取引だったら「勇気ある撤退」
2. 適当な取引だったら「地獄への道」
として仕分けします。

さらに、利益を得られた取引も「なぜ利益が出たのか」を振り返ることで、継続した利益を出し続ける可能性を高めます。

利益を得られた取引は、負けた取引の反省に時間を注ぐため、反省する時間が少なくなりがちです。

しかし、勝ち取引もじっくり振り返ることで「継続した利益」が出るなら振り返りをしっかりやるべきでしょう。

長期投資はしない

オリバーとグレッグのニューズレターで紹介されている銘柄と解説は、短期トレードを対象とします。

この短期トレードの期間とは「2日〜2週間」です。いわゆる「スィングトレード」です。

彼らの考えでは、熟練したトレーダーは、スィングトレーダーの場である「2日〜2週間」よりも数時間での短期勝負(デイトレード)が最も勝率が高いという相場観なのです。

本書のタイトルも「デイトレード」です。
今の地合いを考慮してもウルフ村田さんがご指摘されているように、
「相場への滞在時間=リスク」
を改めて心に留めておかねばなりません。

「確実」は無い

2018年クリスマス。日経平均株価がドン底になるに伴い株価がそろって下落。そのショックで「涙の損切りクリスマス」を迎えた私です。

今は本当に感謝のクリスマスとして私の心に残っています。なぜなら塩漬けした銘柄を売れたからです。

購入価格からかなり下落したのは分かっていたのですが、利確すると損するのは目に見えています。その時、すでに2ヶ月も塩漬けしていました。いわゆる「お祈り投資」でした。

これも購入前に損切り設定していれば、塩漬けを確実に防ぐことができました。無計画な売買は、塩漬けの元です。

この経験をきっかけに事前の計画の大切さを見に染みて理解した私でした。そうなるとどうなるか?

「確実に損しない状況になるまで売買しない」
と決意にも似た気持ちになるのです。「手はおひざ」という言葉で正当化して、新規に株を購入することに躊躇してしまうのです。

そんな私にオリバーとグレッグは、
確実を追い求めれば、失敗と失望と落胆に満ちた時代が待っている。
と注意します。確実を求めるよりも「高い確率」を追い求めるように導いてくれました。

そして、プロのトレーダーでも連勝しているわけではないことを教えてくれます。短期トレードですと、プロですら「1/8-1/4」の確率なのです。

ならば、株取引を始めて数ヶ月の私が連勝することは天と地がひっくり返ってもあり得ないことです。さらに連勝したときこそ注意するよう先手を取って諭してくれます。

「なぜ」と言い始めたら「ポジション半分」
「なぜ」が消えないなら「手仕舞い」

この言葉で確実に損切りできそうです。


>最良の取引
一番良い取引とは「インした瞬間から株価が買値よりも上昇している」ことです。これを目指してテクニカル分析しているはずです。

だからこそ、
1. プロでも連勝はしていないこと
2. 下落している目の前の現実を受け入れて即対処
3. ニュースは他の投資家がどう捉えているかを探る手段
4. 経験を積むことで「株のセンス」を得ている
5. インとアウトの時間軸を変えない
ことを胸に刻み、努力を続けます。


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